セミラフは必要か

フォアー ザ ゴルファー

セミラフをなくす時か?

USGAはゴルファーにこんなことも伝えようとしています。

 

2024年3月2日

ポール・ジェイコブス(USGA中部地区農学者)

狭い帯状のセミラフは、その維持に時間とお金をかける価値があるのだろうか?ほとんどのコースでの答えはNOでしょう

 

セミラフとは、フェアウェイ周辺の狭い帯状のラフのことで、改めて説明する必要はないかもしれませんが、プライマリーラフ(以下ラフと表記)よりも低い刈高で刈り込まれている場所です。”ステップカット”や”ファーストカット”と呼ばれることもあります。名称に関わらず、セミラフの目的は同じです。フェアウェイとラフの刈高には明確な差がありますが、フェアウェイからラフへ徐々に芝高を変化させることを目的としています。しかし、ほとんどのコースでは、ラフの刈高が4~5インチ(約10~13cm)に維持されていることはなく、競技会などを除き毎日のプレーにセミラフが本当に必要なのかという疑問を感じます。

多くのゴルファーはセミラフからのショットが好きです。それはセミラフが快適なライを提供してくれるからです。ただし、週に2、3回セミラフを刈るには、スタッフの貴重な時間を10時間以上費やすことになります。芝刈機の価格は25,000~40,000ドル(米国内の価格で380万円~600万円)ほどと高価で、セミラフを刈るために特別にセットアップする必要があります。ラフ以外の刈り込みに使用する際には、その都度メカニックが調整しなおすことになります。

また、セミラフは芝の品質に関しても苦労する傾向があります。ラフに使用されている芝は、本来のそれらの芝草にとっては低く刈り込まれすぎています。その結果、芝の状態が安定せず、メンテナンスチームは日々注意を払い、より多くの時間と費用を費やすことになるのです!専門的な設備と求められる刈り込み作業量を考えると、幅1.5メートルの芝のためにかなりのコストをかけています。

セミラフのもう一つの問題点は、時間が経過するとラフとフェアウェイの境界がはっきりしなくなることです。ラフの刈高が2~3インチに維持され、フェアウェイが0.5インチ(12、13㎜)程度に整備されていれば、ゴルファーにとって効果的な視覚的コントラストが生まれます。ところがセミラフが設けられることで、その境界線が曖昧になります。

最後に、セミラフが質の高いゴルフコースの重要な要素であるという、よくある誤解が存在していることを認めなくてはいけません。そうした誤った認識という問題だけでなく、最近ではセミラフを維持するコースが少なくなってきています。リソースを集中させて、よりクリーンでクラシックな演出をすることを狙った管理が増えています。そして、米国で最も評価の高いコースがこの傾向を率先して実践していることで注目が集まっています。プロゴルフトーナメントのテレビ中継でインターミディエイトラフ(セミラフです)を目にすることがあるかもしれませんが、同じようなセミラフが、あなたのコースで毎日のプレーに意味があるとは限りません。セミラフの必要性を最終的に決めるのは、ラフとフェアウェイの刈高の違いです。

あなたがプレーしているコースにセミラフの設定がされていなくても、またセミラフを廃止することになったとしても、気に病む必要はありません。セミラフは、コースの良し悪しを決定するものではなく、メンテナンスプログラムから不必要な作業を省き、あなたのラウンドに最も良い影響を与えるところにリソースを集中させていることを意味するだけのことです。

5年ほど前のUSGA Green Section Recordにこんな内容の記事があります。

BMPケーススタディ

セミラフをなくすメリット

2017年4月17日の記事です。

セミラフをなくすことで、時間と資源を節約し、プレー条件を改善し、全体的なコース美観を向上させることができる

課題

ニューヨーク州のクラッグバーン・ゴルフクラブでは長年、フェアウェイとラフの間にセミラフを設けていました。しかし、クラブはこのやり方が有意義かどうか疑問を持ち始めていました。セミラフはフェアウェイとラフの間の視覚的なメリハリを曖昧にして、景観を損なっていました。加えて、クラッグバーンはフェアウェイが広く、ラフの刈高は高くなく深いラフを持っていたわけではありませんでした。農学的な観点からは、セミラフの良好な芝質とプレーヤビリティを維持するのは困難でした。そして、三つの刈高を維持するためには、より多くの労力と専用の芝刈機が必要でした。

対策

クラッグバーンは、セミラフを取り除き、その部分をラフに変更することにしました。プレーへの影響を考慮してラフの刈高を2.5インチから2.0インチに下げた結果、プレーのしやすさとプレーのペースも改善されました。

結果

クラッグバーンのセミラフをなくす改造は成功しました。美観の面でも、フェアウェイとラフの間の境界がより明確になり、ゴルファーはフェアウェイスペースの視認性が高くなったことでターゲットに集中しやすくなりました。この美的な変化はゴルファーに好評だっただけでなく。セミラフをなくすことで、メンテナンス労力と資源を節約し、リソースをゴルフコースの他のエリアに振り向けることができるようになりました。セミラフを週に3回刈るには、平均15時間の労働時間が必要でした。20週間のゴルフシーズン中、セミラフの刈り込みには300時間近い労働時間が費やされていました。今では、それらの資源は主要なプレーエリアの維持やゴルフコースの改善プロジェクトに集中されています。セミラフ専用に所有していた芝刈機は不要になり、これによってメンテナンスコストが削減されただけでなく、セミラフを維持するための農学的な問題も解消され、プレーのしやすさと芝の健全性の両方が向上しました。

と、USGAは高い評価をしています。

米国でも高騰する管理コストとプレーのクオリティの両立が課題になっています。USGAはこうした面でもリーダーシップを発揮しています。

 

Reprinted with permission of USGA Green Section

注:BMPとはBest Management Proguramの略で、より効率的で効果の高い管理プログラムの総称です