ゴルファーが知っておくべきゴルフカートの五つの話題

ジョージ・ウォーターズ(George Waters, USGA )

 

USGA(米国ゴルフ協会)は、良好なゴルフコースコンディションを維持するために、ゴルファーが守るべき心得をグリーンセクションレコードの誌面で説いています。その内容は、ゴルフ場サイドから提供されるべき内容といえます。ただ、こうしたお願いはコース側からはなかなか発信しにくいもので、USGAが代弁することでゴルファーの理解を深めようとしているわけです。日本では当たり前のように行われている内容もありますが、改めて気持ちよくラウンドするためにゴルファーが取るべき心得について、ここに書かれている内容以外も含めて考えてみてください(喜田)

ゴルフカートはプレーアクセスを改善し、ゴルフコースに収益を生み出すことができますが、芝の健康状態やプレーコンディションに悪影響を及ぼすこともあります(Green Section)

 

ゴルフカートは多くのゴルフコースで重要な役割を果たしています。カートはゴルフ場の収入源となり、プレーヤーのアクセス性を向上させることから、ゴルフコースを歩くことができないゴルファーもプレーを楽しむことができます。しかし、このようなメリットにコストがかからないわけではありません。ゴルフカートは、特に通行量が集中する場所では、芝の健康状態やプレーコンディションに非常に悪い影響を与える可能性があります。そこで、次の五つのことを念頭に置いておけば、今後のラウンドでゴルフコースよりもカートの利用を優先することがなくなるでしょう。

  1. ゴルフカート利用の影響は様々

ゴルフカートの使用がゴルフコースにどのような影響を与えるのでしょうか。多くの要因が影響します。ある特定の芝はカート使用による傷害に弱く、特別なカート利用上の規制が必要な場合があります。土壌が固く、水はけが悪い場所では、カート重量による土壌圧縮やその他の交通上の問題に関するリスクが高くなります。季節も関係します。芝草の生育が遅い時期は、カートを継続して使用することによる累積的な影響が発生しやすくなります。これらの理由から、カートの使用方針はゴルフコースによって、またホールによって、さらにはプレー日の状況によっても異なります。

  1. ウェットコンディションとカートの通行は相性が悪い

降雨などで芝が濡れていると、ゴルフカートはスリップや横滑りしたり、芝生面にタイヤ跡がつくこともあり、一瞬にして、また長期にわたる芝生へのダメージを発生することがあります。また、濡れている土壌は圧縮されやすく、たとえその影響がすぐに認められなくても、その後のプレー状態に長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。そうした状況では、濡れた場所での通行を避けるといったカートの利用制限を尊重することは、責任あるカートドライバーであるための重要な要素です。

濡れた場所をゴルフカートで走行すると、深刻な損傷が発生します。カート利用の制限を尊重し、濡れた場所を避けることで、ゴルファーはコースを大切にすることができます
  1. 暑い時期の乾燥した天候でのカートの利用も問題を引き起こす可能性があります

びしょびしょに濡れた場所をカートで走ると問題が起こりやすいことは容易に理解できますが、乾燥した芝や熱ストレスのかかった芝の上を走っても問題が起こる可能性があることは、ゴルファーにはあまり知られていません。暑くて乾燥した天候の時にカートを走らせると、芝にストレスがかかり、芝が傷んだり、芝生面に枯れた黄色い色のタイヤ痕を目にすることがあります。

暑くて乾燥した天候の時にカートを走らせると、芝が傷むことがあります。乾燥した芝や熱ストレスのかかった芝に現れるタイヤ痕は、元の状態に戻るまでに数週間かかることがあります
  1. 時には、あまり通らない道を通った方が良いこともある

1台のゴルフカートがフェアウェイを走っただけでは、芝の健康状態やプレーコンディションにはほとんど影響しません。たくさんのゴルフカートが走る結果、通行量の累積効果から、最終的には芝にダメージを与えることになります。そのため、カートの通行が集中する場所(カート道路の周囲など)でカート利用による損傷が最も目立つことになります。ゴルファーが通行量の多い場所を極力避けることで、カートの影響を大幅に軽減することができます。

  1. ゴルフカートの往来が少ないということは、プレーコンディションが良いということです

ゴルフカートの往来を減らし、芝の健全性を向上させるには、ゴルファーは歩いてラウンドするとか、カートを共有したりすることが有効です(米国の場合2人乗りが主流ですからこういう指摘になります)。こうした対応は、ゴルフコースが様々なコース資源を節約し、すべてのゴルファーにとってより良いプレー条件を提供することにつながります。

カートの往来を減らすことは、健全な芝と良好なプレーコンディションを維持することを容易にします。可能であれば、カートに乗らずに歩くことも大きな助けになります(USGA/Darren Carroll)

ゴルフコースは、ゴルフカートの使用による悪影響を最小限に抑えるために、ロープや杭、標識、その他多くの交通規制手段を使用していますが、最終的には、ゴルファーが通行する場所と運転方法に気を配るかどうかにかかっています。コースのルールを尊重し、カートの使用制限を理解し、カートの通行量を減らす最善の取り組みを行うことで、ゴルフコースに非常に良い影響を与えることができます。

Reprinted with permission of USGA Green Section