~ゴルファーからのよくある質問への回答~
ジョン・ペトロフスキー(John Petrovsky、USGAグリーンセクション教育マネージャー)
CAP:ゴルフコースでダニを完全に避けることはできないかもしれませんが、ダニに遭遇するリスクを軽減し、身を守るためにできることはあります(写真提供:ペンシルベニア州立大学)
USGAはゴルファー向け情報としてこんな話にも答えています。記事によるとエアースプレーや衣服乾燥機、入浴が効果的とあり、「日本の習慣はダニ防除に効果」アリ、ということですが、対策はお忘れなく
ゴルファーなら(たぶん)誰でも、目標を外れたボールを探しにフェアウェイから遠く離れた丈の高い草むらや森の中に入っていく羽目になることがあります。アメリカの多くの地域では、こうした場所にダニが生息しています。ダニは、咬傷によって様々な病気を人に感染させる小さな生き物です。
ゴルファーは、ゴルフコースのダニ対策や刺されないようにするための方法を管理者に尋ねることがよくあります。コース側がダニとゴルファーの接触リスクを軽減するためにできることはいくつかありますが、この問題を完全に排除する方法はありません。ゴルファーは、コース上でダニがどこにいる可能性が高いか、そして最も活発になる時期を把握し、ダニが付着するのを防ぐ、あるいはダニを見つけやすくする様々な予防策を講じることで、自らを守ることができます。
ダニはゴルフコースのどこに生息するのか?
ダニは、丈の高い草、森、自然のままのエリアなど、ゴルファーがミスショットしたボールを探しがちな場所に最も多く生息しています。これらの場所が最も一般的な生息地ですが、ダニの生息地は樹林や深いラフに限ったものではありません。樹木近くの刈り込まれた芝、花壇の隅、ベンチ、さらにはクラブハウス周辺にも生息していることがあります。また、歩道や屋外のベンチエリア、プール周辺にもダニが生息していることがよくあります。
基本的に、植物が生い茂り、野生動物が定期的に活動している場所は、ダニの潜在的な生息地となる可能性があります。そのため、樹林の中でボールを探しているときだけでなく、屋外やコースにいるときは常に注意を払い、予防措置を講じることが重要です。
ダニはいつ活動するのか?
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、ダニの活動は気温、湿度、ダニのライフステージと密接に関係しています。天候が穏やかな時期はいつでもダニに遭遇する可能性がありますが、リスクが高まる時期があります。国内の多くの地域では、晩春から初夏は特に注意が必要な時期です。これは、未成熟の若ダニが活動し、非常に小さいため簡単に気づかない可能性があるためです。成虫のダニは早春から秋にかけて活動し、温暖な地域では、一部のダニ種がほぼ一年中活動していることがあります。ダニは雨期や高湿度の後により活発になる傾向があります。これは、湿った状態の方が、歩き回ったり、通りすがりの宿主にしがみつくのを待ったりする間、より長く生き延びるのに役立つためです。ダニは、枝やその他の植物に前脚を伸ばして受動的に留まり、食べ物が近づいてくるのを待っていますが、人に「飛びかかる」ことはありません(Arsnoe他、2015)。
日中の気温が4℃以上になると、ゴルファーはコース上でダニが活動していると考えるべきです。ただし、氷点下前後の気温でも活動するダニもいます。暖かい時期は、あなたのゴルフコースでもダニが活動している可能性が高いでしょう。
CAP:三つのライフステージを10セント硬貨と比較した図。幼虫は非常に小さく、しばらく身体に付着するまで気づかないことが多い(CDC)
ダニから身を守るにはどうすればよいのか?
スタート前、ラウンド中、ラウンド後にダニ刺されや病気の感染リスクを軽減するための対策があります。虫よけ剤など、EPA認定のダニ忌避剤を塗布すると、ダニの侵入を防ぐのに役立ちます。衣類、特に靴、靴下、ズボンに衣類用またはギア用の忌避剤を塗布すると、保護層がさらに強化されます。これらの製品の多くは、ダニを寄せ付けないだけでなく、接触したダニを駆除する効果もあります。虫よけ剤は、皮膚用でも衣類用でも、必ずラベルの指示に従って使用してください。明るい色の服を着ると、ダニが付着しているのを見つけやすくなります。また、少し奇妙に見えるかもしれませんが、ズボンを靴下の中に入れると、ダニが脚を這い上がるのを防ぐ物理的な防御法になります。
プレー中は、ダニがよく見られる背丈の高い草むらや樹木が生い茂ったエリアでは、できるだけ時間を過ごさないようにし、不必要にこれらのエリアに入ることは避けるようにしましょう。特にダニが潜んでいる可能性が高い日陰や自然のままのエリアでは、地面に直接座るようなことはできるだけ避けましょう。コースにいる間は、定期的に自分の身体、特に脚、ウエスト、腕の周りにダニがはっていないか確認しましょう。
ラウンド後にシャワーを浴びるとダニを洗い流すことができ、付着しているダニを確認する機会にもなります。さらに安全対策として、衣類を乾燥機で高温約10分間乾燥させると、付着している可能性のあるダニを効果的に駆除できます(Nelson et al., 2016)。ゴルフバッグにダニ除去ツールを入れておくと、ラウンド中に付着したダニの除去が容易になります。CDCによると、付着したシカダニを24時間以内に除去することで、ライム病菌を感染させるリスクを軽減できます。
ゴルフ場のダニ対策
ゴルフ場がダニを完全に駆除したり、敷地全体にダニ忌避剤を散布したりすることは不可能ですが、ゴルファーのダニへの曝露を最小限に抑えるために実行できる手順がいくつかあります。
ショットしたボールが集まりやすい場所から自然林を遠ざけることは、プレーのペースを速め、ダニに遭遇するリスクを減らす上で効果的です。樹林の端にある低い枝や低木を伐採することで、ゴルファーがボールを探す場所をダニの生息域から遠ざけることができます。さらに、ダニの活動が活発な場所に標識を設置することで、ゴルファーの意識を高め、予防対策を促すことができます。
ゴルフコース全体に殺虫剤やダニ忌避剤を散布することは様々な理由から不可能ですが、対象を絞ったスポット処理は効果的です。既知のダニの生息地周辺の狭い範囲に散布することで、ダニが人通りの多い場所に侵入するリスクが軽減されます。
生息地の管理や化学物質による管理に加え、ゴルフ場はゴルファーへの意識啓発と教育を通じて安全対策を支援することができます。ダニ発生のピークシーズンには、情報セッションの開催、ソーシャルメディアでの資料の配布、メールでのリマインダー配信などを通じて、ゴルファーがリスクと身を守る方法をより深く理解するのに役立ちます。多くの地域には、施設で講演を行い、情報提供や質問への回答をしてくれるダニの専門家がいます。
警戒する
ゴルフコースは広大な自然空間であり、ダニとゴルファーの遭遇を完全に防ぐことは不可能です。ダニの生息場所、活動時期、そして身を守る方法を知っておくことで、ダニの被害を防ぐことができます。忌避剤の使用、適切な服装、そして定期的なダニチェックも重要です。常に注意を払い、基本的な予防策を講じることで、ダニに悩まされることなく、ゴルフをより快適に楽しむことができます。
Reprinted with permission of USGA Green Section