
CAP:ベントグラスとスズメノカタビラの遺伝子のわずかな違いが、早春のグリーンに様々な色彩を生み出すことがあります。少し奇妙に見えるかもしれませんが、通常は心配する必要はありません
春先のゴルフは、長い冬が開け、さわやかな風を感じる特別な楽しみがあります。
しかし、この時期のグリーンには、少し不思議な光景に気づく方も多いと思います。濃い緑であったり、薄い緑、黄色がかった部分もあり、時には紫色まで混ざり、まるでモザイク柄のように見えることがあります。米国のPGAツアーでもテレビの画面には同じようなモザイク模様が見受けられます。
一見すると芝が傷んでいるようにも見えますが、多くの場合、これは心配する必要のないこの季節特有の現象です。
グリーンに使用している芝草(主にベントグラスですが、米国ではスズメノカタビラのグリーンも多く見られます)には、それぞれわずかな遺伝的違いがあります。冬を越えて春になって生育を再開する際、その違いが色の差として現れ、グリーンがまだらに見えることがあるのです。
なぜグリーンはまだらに見えるのか
ベントグラスのグリーンは、複数の品種をブレンドした種子で造成されることがあります。すると品種ごとに生育反応が少しずつ異なるため、季節の変わり目には色の違いが目立つことがあります。
また、たとえ最初に単一品種で播種されたグリーンでも、年月を経過する中で個々の株の間にわずかな遺伝的差異が生まれ、それが徐々に表面化してきます。こうした違いは特に冬から春へのシーズン(移行期)に目立ちやすくなります。
ただし、見た目に違いがあっても、ベントグラスは品種間で生育速度や葉のきめがよく似ているため、通常はパッティングに大きな影響はありません。
■ベントグラスの一口知識
- ゴルフ場のグリーンに使われるクリーピングベントグラスは、実は完全に均一な芝ではありません。
ベントグラスは進化の過程で近縁の芝草の遺伝子が組み合わさってできた植物と考えられており、さらにゴルフ場では複数の品種が導入されてきました。
そのためグリーンの中には、わずかに性質の違う芝が共存していることもあります。春に見られる色の違いは、こうした芝それぞれの「個性」が表れているものともいえるでしょう。
スズメノカタビラの影響
グリーンにはベントグラスだけでなく、スズメノカタビラ(Poa annua)が混ざっていることもよくあります。グリーンキーパーの最大の悩みの一つです。多くのグリーンキーパーにとって悩みの種の一つで、グリーンに侵入していないかと注意深く観察しています。
この芝、スズメノカタビラは非常に適応力が高く、そして単一の品種ではなく、多くの「バイオタイプ(系統)」が存在します。夏の間はどれもよく似た姿に見えますが、冬を越えた直後は生育のタイミングが異なります。
例えば、春の気温上昇とともにすぐ成長を始める系統もあれば、回復に少し時間がかかる系統もあります。その結果、スズメノカタビラが侵入したグリーンに緑色の違いが現れることがあります。
ベントグラスとスズメノカタビラが混ざると
多くのグリーンでは、ベントグラスとスズメノカタビラが混在しています。米国の東海岸のゴルフコースでは名門といわれるコースやトーナメントコースでもグリーンの芝がスズメノカタビラというゴルフ場は多いのです。葉は細くパッティングクオリティーも素晴らしい。
ベントグラスのグリーンでは春になると、スズメノカタビラは気温が上がるとすぐに生育を始めます。一方で、ベントグラスは少し遅れて動き出します。例えるなら、スズメノカタビラは春になるとすぐに起き出しますが、ベントグラスはもう少し長く“パジャマ姿”で過ごしているようなものです。
そのため、春先にはスズメノカタビラの部分が先に濃い緑色になり、グリーンにまだら模様が現れることがあります。
この生育速度の違いは、グリーン管理にも影響します。気温が十分に上がるまでは、両方の芝の生育がそろわないため、スムーズなボールの転がりを維持するのが難しいことがあります。そこでグリーンキーパーは、刈り込みや転圧、施肥、植物成長調整剤などを用いて、表面の状態を整えています。
春のグリーンでは普通のこと
冬の終わりから春先にかけて見られる色の違いは、
- 芝の遺伝的な違い
- 芝種の混在
- 生育のタイミングの差
などが重なって起こる一時的な現象です。
気温が安定して上がり、芝の生育が活発になるにつれて、グリーンは次第に均一な緑色に戻っていきます。
もし病気や冬のダメージが疑われる場合はグリーンキーパーに確認するのもよいでしょう。しかし多くの場合、皆さんが見ているのは、長い冬眠からそれぞれのペースで目覚めている芝の姿なのです。
Note:USGAの記事「The Multicolored Mosaic of Early Spring Greens」March 07, 2026 John Petrovsky, manager, Green Section Educationの翻訳に追補してあります
