ゴルフ場と環境について知っておくべき五つのこと

ブランディ・メリック(Brandi Merrick、USGAグリーンセクション教育担当マネージャー)

ゴルフコースは、さまざまな動植物の生息地であり、環境面で多くの利益をもたらしています

ゴルフをするということは、それは何時間も屋外にいるということです。頭上を舞う鷹を見上げたり、フェアウェイを流れる小川を避けるための最善のルート選択に悩んだりと、ゴルフコースにいる間は自然との触れ合いや観察を避けて通ることはできません。ほとんどのゴルファーは、ゴルフコースが環境に与える恩恵を日々目にし、体験していますが、ゴルフと環境の関係は必ずしも十分に理解されておらず、ゴルフ業界として正確に説明されていないように思います。ゴルフコースがどのように環境に優しい緑地となりうるのか、ぜひお読みください。

リラックスする

例えば暑い夏の日に、ゴルフコースがそのように認知されているとは限りませんが、ゴルフコースは実際に上空や周囲の空気を冷やしています。高度に開発された地域では、ゴルフコースの植生や芝が周囲の気温を数度冷やし、都市のヒートアイランド現象を緩和するように機能しているのです。その冷却効果は、コースから1/4マイル(約400メートル)以上の範囲にも及びます(東京のヒートアイランド現象が問題となった時に新宿御苑などの公園緑地の冷却効果が注目されました)。大都市圏では、ゴルフ場は夏の蒸し暑さから解放される唯一の大きな緑地かもしれないのです。

野生動物が生息する場所

ゴルファーなら、プレー中にゴルフコースで動物を見かけたことがあるでしょうかう。鳥、爬虫類、鹿、その他多くの生き物は、どこのゴルフコースでもよく見かける光景です。ゴルフコースは、絶滅危惧種を含むさまざまな動植物にとって格好の生息地です。ゴルフコース管理者(グリーンキーパーのことです)は、野生動物の生息地を拡大したり、環境保護プログラムに参加したりするために、多くの時間と資源を割いています(日本ではゴルフ場で使用される農薬に関係する水質調査が毎年実施され、安全の確認が行われています)。

水資源

ゴルフコースが健全な芝生を維持するために水を使用していることは、ほとんどの人が知っていますが、ゴルフコースが雨水を溜めて景観の維持に利用したり、散水などに有効利用しているだけでなく、ろ過をして地下水として涵養していることを多くの人は知りません。ゴルフコースによっては、周辺地域の洪水のリスクを軽減するように設計されているケースもあります。ゴルフコースの芝生と自然は、コースに隣接する土地への雨水の流出を遅らせており、適切な管理の下で、ゴルフコースから排出される水は、浄化されたきれいな水になっています。

新鮮な空気を提供

ゴルフコースには何エーカーもの広い地域に植物が生い茂り、周囲の空気の質を常に改善しています。植物は空気中の二酸化炭素を吸収し、私たちが呼吸する酸素を放出しています。また、大気中の汚染物質を吸収し、空気中に浮遊するほこりや微粒子を捕捉しています。これは、喘息やその他の呼吸障害の発生率が高い都市部では特に重要な機能です。

ゴルフはもっと貢献できる

ゴルフコースは今日、多くの環境面での利益をもたらしていますが、常に改善の余地があります。植物の自生地の拡大や野生生物のためのスペースを確保して、温暖化防止対策となるガソリンエンジンから電動の管理機械への転換や水利用の面での継続した改善策などは、ゴルフコースが環境を向上させるために取り組んでいるほんの一例に過ぎません。

ゴルフ場が環境に優しい空間ではないと指摘する人もいますが、ゴルフ場が開発された地域では、動植物や人間にとって科学的に実証された環境上の利点がたくさんあります。私たちは、ゴルファーとしてだけでなく、コースが末永く繁栄することが、同時にゴルフコースを住処とする動植物や私たちを取り巻く環境を大切にすることにつながると考えています。

Reprinted with permission of USGA Greensection.