ゴルフ場の犬たち:彼らは頼れる仲間

ジョン・ペトロフスキー(John Petrovsky、USGAグリーンセクション教育マネージャー)

CAP:ゴルフコースと敷地を管理するトニー・ニスさんと彼の愛犬チャーリー。フロリダにあるアポジークラブでゴルファーやスタッフに挨拶するのがお気に入り

近年、野生動物が住宅地に出没するといったニュースをよく目にします。動物たちのせいではないのですが、ゴルフ場でもイノシシに芝生をはがされるなどの被害が出ています。そこでグリーンキーパーなどから注目されているのが犬の効果です。今回はゴルフコースの犬の話題です。

早朝も、日中でも、日が沈む頃でも、ゴルフコースのメンテナンスチームには、尻尾を振りながら常に正面から課題に立ち向かう準備ができているメンバーがいます。私たちの愛すべきゴルフコースの犬たちは、グリーンキーパーの仲間以上の存在であり、メンテナンスクルーと一緒に働いている姿をよく目にします。ガチョウを追い払ったり、真剣な会話の緊張を和らげたりしてくれます。この忠実な4本足のチームメイトは、機械や人の力では解決できない方法で、スムーズなコース運営に貢献しています。この同僚が、日々のメンテナンス作業を支え、従業員の士気を高め、ゴルファーとスタッフの両方にとってより良い体験を生み出すのにどのように役立っているかを紹介したいと思います。

すべての人の友達

ゴルフ場のグリーンキーパーの業務は大変な仕事です。芝生の管理以外の、増え続ける管理業務、労働の複雑さ、プロジェクト管理、渉外とさまざまな課題に対処しなければなりません。しかも、コースはかつてないほど忙しい状態が続いています。幸いなことに、犬はそうしたプレッシャーにほとんど影響を受けませんが、犬には飼い主の不安を察知する不思議な能力があり、必要なタイミングで気を紛らわせてくれます。犬を飼っているグリーンキーパーにとっては、犬がいないコースでの長い一日はもっと長く感じられます。そして、この仲間の存在の恩恵を得ているのは飼い主だけにとどまりません。

「多くの会員は私の名前を覚えていないかもしれませんが、愛犬のピンキーのことはみんな知っています。そして、ピンキーを見つけるといつも、とても喜んでくれます」と、カリブ海のセントルシアにあるポイント・ハーディ・ゴルフクラブの農学ディレクター、デイモン・ディ・ジョルジオ氏は話します。ピンキーは17歳になる体重が4.5ポンド(約2Kg)もあるチワワとヨークシャーテリアのミックス犬です。彼女はゴルファーやメンテナンススタッフ、そしてソーシャルメディアで大人気です。ディ・ジョルジオ氏はドミニカ共和国でピンキーを子犬の頃に引き取り、いろいろなコースの経験を経て、最終的にセントルシアでの現在の役職に就くまで、ピンキーは常に彼女のそばにいました。ピンキーはゴルフ場にいる多くの犬とは似ていませんが、ディ・ジョルジオ氏は彼女を一人にしておきたくなかったので、コースに連れてくるようになったそうです。

ピンキーなしで一日を過ごすことは考えられません。ゴルファーと一緒に自撮りをしたり、コースをドライブしたり、島の珍しい野生動物と知り合ったり、ピンキーはコースで一日を過ごす幸運な人たちにとって友達のような存在です。

CAP:ピンキーは、セントルシアのポイント・ハーディ・ゴルフクラブの農学ディレクター、デイモン・ディ・ジョルジオ氏が飼っている17歳のチワワとヨークシャーのミックス犬。ピンキーはゴルファーやスタッフだけでなくソーシャルメディアでも大人気

この記事のために私が話を聞いたグリーンキーパーの全員が、犬は人々を安心させ、そしてゴルフコースを代表する愛嬌のある能力は、目に見える我々の資産だと強調します。ゴルフ場の犬は、メンテナンス部門にとって効果的な広報ツールです。どんな問題があっても、ゴルフ場の犬は素晴らしいアイスブレーカーとなり、緊張した会話を和らげてくれます。

メンテナンスチームの貴重なメンバー

ダン・ヴァター氏の3歳のピットブルとラブラドールのミックス犬、ムースは、ミルウォーキー郊外のブルーマウンドゴルフ&カントリークラブのなくてはならない存在です。コース管理者であるヴァター氏と妻のマギーは、ムースを動物保護団体ラッキー・マッツ・レスキューのウェブサイトで見つけ、一目惚れしました。

ムースが職場にいると、ヴァター氏とスタッフの気分が明るくなり、職場環境も良くなります。毎朝、ムースは休憩室で全員に挨拶し、おいしいおやつを持っているお気に入りの従業員をすぐに見つけます。コース上では、ムースは士気を高める存在であり、メンテナンスチームの重要な一員です。「ムースは、私のカートの走行音を聞くと、すぐに耳をそばだてて、私たちがどこに向かっているのかを知ろうと外へ走り出します」とヴァター氏は言います。メンバーと従業員は、現場に向かう途中でカートの横を走るムースの姿を楽しんでいます。

ムースは「ちょっと変わった子」だとヴァター氏は紹介してくれました。彼のお気に入りの仕事道具には、スプリンクラーのバネ、旗竿、芝の転がりを計るスティンプメーターなどがあります。コースでムースに出会ったら、きっとこれらのうち一つを持っているはずです。ただし、同僚たちはムースが部品をこっそり持ち去ることを快く思っていません。たまに悪ふざけをすることはありますが、ブルーマウンドのメンテナンスチームはムースが同僚であり友人と考えています。

 

CAP:ムースは、コース管理者のダン・ヴァターによって保護され、現在はブルーマウンドでメンテナンスチームの貴重なメンバーとして日々を過ごしています。ムースが近くにいると、ティーグラウンドの芝刈りが楽しくなる

次にフロリダ州ホーブサウンドにあるアポジークラブで、ゴルフコースと敷地の責任者であるトニー・ニス氏と彼の7歳のワイマラナー犬、チャーリーを紹介しましょう。二人はコース内のいくつかの作業に注意深く目を光らせています。

「チャーリーは私の2匹目の飼い犬で、どこにでも一緒についてくる本当の仲間です」と、2022年にアポジーにやって来たニス氏は言います。「前の犬がメンテナンスチームにもたらしたポジティブな影響を体験しました。私たちが主要なスタッフを補充したとき、彼は候補者一人一人に会い、誰もが彼と打ち解けることができました」。

新入社員の面接に加えて、チャーリーはコース周辺の野生動物と触れ合いながら朝のランニングをするのが大好きです。チャーリーの現在のお気に入りのエリアは、建設中で興味深い光景と匂いに満ちた、探索できる新しく場所がたくさんあるアポジーのノースコースです。

ゴルフ場の犬は、メンテナンス部門にとって効果的な広報ツールです

チャーリーがメンテナンスチームにもたらす良い雰囲気は、いくら強調しても足りません。彼は、毎朝仕事の指示を受けるスタッフ全員に挨拶し、1日を通してコースメンテナンスの様子を確認するという日課を持っています。「彼はスタッフ全員に前向きな雰囲気をもたらしてくれます」とニス氏は言います。「従業員、訪問者、請負業者、ゴルファーなど、誰もが彼の挨拶を心待ちにしています。もちろん、チャーリーも特別な配慮を喜んでいます」。他の芝生管理者も週末に犬を連れてくるので、アポジーでは子犬のパーティーが頻繁に開かれます。

最高の友達

毎日一緒にいると、会員、ゲスト、スタッフにとって親しみやすい存在になると強く感じています。「彼女は会話のきっかけを作ってくれて、みんなを安心させてくれます」とディ・ジョルジオ氏は言う。「何よりも、みんなが笑顔になり、彼女に会えたことをうれしく思ってくれます。それは日々の良いことです。たとえ、何らかの理由で私に会えてうれしくないとしても」と冗談を言うのです。

ピンキーの主な仕事は常に「幸せの使節」であり、彼女の外交活動はゴルフ場だけにとどまりません。ディ・ジョルジオとピンキーは、非営利団体のペットセラピー組織PAWSと共同で、アルツハイマー病やその他の病気と闘う人々にセラピーサービスを提供しています。ディ・ジョルジオがカリブ海での活動の合間にデラウェア州のフィールドストーンクラブで働いている時も、同組織はピンキーのサービスから恩恵を受けました。実際、ピンキーはセラピードッグとしてPAWSの殿堂入りを果たしています。

Reprinted with permission of USGA Green Section