青々とした芝生が必ずしも目標ではない理由

エリオット・L・ダウリング(USGA東部地区ディレクター、Elliott L. Dowling)

 

CAP:青々とした芝生は、遠くから見るときれいに見えるかもしれませんが、プレーを楽しめなかったり、維持費が高くついたりすることがあります

ゴルファーは、天候やメンテナンス予算、芝の種類などに関係なく、コースのすべての場所に青々とした芝生を望むのが普通です。ゴルフコースの広告でも、「青々とした」という言葉がよく使われます。青々とした緑の芝生は美しいのですが、コースにとって常に最良の色とは限りません。

ゴルフコースの芝の色や密度は、一年を通して多少のバラツキがあるものです。それは芝が健康でないという意味ではなく、天候や利用者数、その他多くの理由で起こる自然な変化です。一般的に、青々とした芝生は、いくつかの理由から理想的とは言えません。

  • プレーのしやすさ:ゴルファーは、特にグリーン、アプローチ、フェアウェイに関しては、固くて速いコンディションを好みます。この青々とした芝は、芝生表面が柔らかくなる傾向があり、フェアウェイでのボールの転がりが悪くなり、アプローチでのバウンドが予測不能になり、そしてグリーンでのボールの転がりが遅く、滑らかでなくなったりします。ラフの芝が伸びすぎるとショットが難しくなり、ラフに飛び込んだボールを探すため、ゴルファーのプレーペースが遅くなってしまいます。
  • 水分管理:ゴルフコースのメンテナンスでは、最適なプレー条件を維持するために慎重な水分管理が必要です。過剰な灌漑で芝生を緑色に保とうとすると、水分過剰でぬかるみが発生したり、病気のリスクも高まります。
  • 病気と害虫:芝生が生い茂り、土壌が過度に湿っている環境は、病害虫が発生しやすい環境でもあります。青々とした芝生を維持するために水をやりすぎたり、肥料などを与えすぎると、芝生は環境ストレスの影響を受けやすくなり、ダメージを受けやすくなります。
  • メンテナンスの課題:青々とした芝を育てるには、より頻繁な刈り込みや施肥、散水などの灌漑作業、トップドレッシング(目土)、エアレーションが必要になります。このようなメンテナンス作業の増加は、複合的な作業となり時間と費用がかかります。そのためゴルフコース管理者は、健全な芝を維持することと同時に、ゴルファーのプレー感覚や芝の健康を損なうことになる過度な芝の生育を避けるようにバランスがとれたコース管理に努めています。

最適なゴルフコースコンディションを実現するために、グリーンキーパーは芝の耐久性やプレーのしやすさ、刈り込みや過度な通行量による踏圧障害、その他環境ストレスに耐える能力などを考慮してゴルフコースに最適な芝を選びます。ところが、単一種の植物(芝)を青々とした状態で維持することは、自然界では不自然で時には不健康な生育環境を強いることになります。さらに選抜された芝の遺伝的な利点の多くを生かせないことにもなりかねません。そして、健全なプレー面を維持するために投入される必要以上の施肥や散水は、資源の有効的な利用とは言えません。コースにとってコストは高くつき、必要以上に環境負荷を増すことになります。

北米のゴルフコースでは、プレーのしやすさと美観のバランスを取ることを管理の目標としています。二つの目標で同時に良い結果を出すことは可能ですが、ゴルフコースとしては可能な限りプレーしやすい状況の実現が重要です。芝は多少乾燥した方が健康的であるだけでなく、たとえ多少芝の色が悪くなったとしても、美観のために青々と生い茂らせるのではなく、プレーしやすさを目標にした方が、コースのプレーはずっと良くなります。

 

Reprinted with permission of USGA Green Section

出典:https://www.usga.org/content/usga/home-page/course-care/green-section-record/61/issue-16/why-lush-green-grass-isn-t-always-the-goal.html#

 

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