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グリーンが速くなることの弊害

2023年02月03日

ジョージ・ウォーターズ(George Waters、USGAグリーンセクション教育担当マネージャー)

グリーンスピードの高速化を推し進めると、深刻なデメリットが生じることがあります

 

ゴルフコースのグリーンスピードに関しては、ゴルファーが何を望むかに注意をする必要があります。テクノロジーとゴルフコースメンテナンスの科学的進歩により、グリーンスピードの高速化が可能になったかもしれませんが、可能だからといって、それが望ましい状況とは限りません。グリーンスピードの高速化は深刻なリスクを伴うものであり、多くのゴルフコースがその危険性を痛感してきました。速さを追求するあまり、失われかねない何かに常に注意を払う必要があります。

使えるパッティンググリーンを小さくしてしまう

グリーンスピードが速くなるにつれて、適切なカップ位置が設定できるエリアが狭くなります。特に、急斜面や大きなコンター(曲面)があるグリーンでは明確です。カップを切れる位置が限られるということは、ゴルファーにとってはグリーンにバラエティに欠けて面白みがなくなるということであり、グリーンはカップ位置が限定されることから芝の消耗も激しくなります。素晴らしいパッティングサーフェスを持ったグリーンなのに、グリーンスピードがグリーンの形状に対して速すぎるために、グリーンのほとんどが使われていないのを見ると、悲しくなります。残念ながら、このシナリオは必要以上に頻繁に起こっています。

より速い”は無料ではありません

グリーンの速さには代償がつきものです。高速グリーンを維持するために必要な刈り込みやローリング、バーティカット、トップドレッシンとその他多くの作業が必要で、それには時間とお金が必要です ― この二つは、最近のほとんどのゴルフコースのメンテナンスチームが豊富に持ち合わせていないものです。テレビで見たり、競技会などの特別なイベントで体験する高速グリーンを実現するためにどれだけの費用がかかるかを知れば、ほとんどのゴルファーは深刻で強烈なショックを受けることでしょう。私たちの多くは、ゴルフをより楽しくするために、そのためにグリーンをより高価なものにすることを望んではいません。

芝はギリギリのところで生きている

グリーンスピードを速くするために行われるメンテナンスの多くは、芝に負担をかけるものです。コースがスピードを追求するタイミングを誤ると、速いグリーンスピードがコースにとって致命的な事態を生むことがあります。高速グリーンが健全でないとは言いませんが、スピードが速くなると許容される誤差がどんどん小さくなり、ちょっとした悪天候や不運によって、数カ月に及ぶダメージの発生につながることがあります。

私たちは真実に耐えられない

ほとんどのゴルファーにとって、チッピングとパッティングのほとんどは、グリーンスピードに関係なく十分に挑戦的であり、グリーンを速くすることは、多くのゴルファーにとってはゴルフをより楽しくないゲームにする可能性があります。グリーンが速くなれば、チップショットは難しくなり、パットも難しくなります。その結果、ミスも大きくなりますから、その分、イライラし、ラウンドスピードが遅くなります。高速グリーンで自分の技量を試すのは楽しいことですが、3パットの連続では、自分に呆れるだけでなく後続のグループもすぐに不満を持ってしまいます。

私たちはグリーンスピードに関しては、速いことが必ずしも良いとは限らないということを経験上知っています。ゴルファーは、より速いグリーンが欲しいと言うかもしれませんが、その要求がもたらすすべてのお荷物について、必ずしも知らないものです。グリーンの速さを求めるのではなく、コースデザインやメンテナンス予算、プレーヤーのスキルレベルに合った速さであることを望むべきです。グリーンキーパー(米国では一般的にはSuperintendent、コース管理者と呼ばれています)に任せておけば、私たちは3パットを最小限に抑えることに集中できるのです。

 

Reprinted with permission of USGA Green Section