2024年9月7日付記事
ザック・ニコルディス（Zach Nicoludis、USGAリージョナル・ディレクター）
CAP:グリーンキーパーは、大量のプレーやさまざまなストレスに対応できるコース管理を行っています
芝生のストレス管理の重要性
ストレス管理は、ゴルフコースの芝にとって非常に重要です。芝生も私たちと同じように、過度のストレスを受けるとパフォーマンスが低下し、健康が損なわれます。ゴルファーが常に優れたプレーコンディションを求める中で、グリーンキーパー（米国ではSuperintendent＝コース管理者と呼ばれています）は、芝生をストレスの限界まで追い込むことがありますが、ストレスを緩和するタイミングを知ることが求められます。
天候の影響
好天の場合、一般的にプレー条件は良くなります。良い天候では、メンテナンスと天候によるストレスが重ならず、より積極的なメンテナンスが可能です。しかし、悪天候（雨や猛暑、湿度など）が続くと、芝生にかかるストレスは増大します。母なる自然は制御できないため、芝にかかるストレスを管理するには、メンテナンスを控えめにするしかありません。悪天候の際、ゴルファーからは「グリーンが遅い」や「フェアウェイでボールが転がらない」といった不満の声が上がることがありますが、実際には天候が芝に与える影響は大きいのです。
利用者数の影響
ゴルフコースのストレス耐性には、利用者数（ラウンド数）も影響します。一般的に、歩行やカート走行による圧力（踏圧ストレス）が芝を弱らせます。通行量が多すぎたり、一箇所に集中すると、芝は耐えきれないストレスを受け、薄くなったり裸地になったりします。グリーンキーパーは、芝が踏圧に耐えられるように水や肥料を多めに散布したり、刈高を調整したりする管理を行います。ここでは、フェアウェイの硬さとカートの通行量のバランスを考慮することが重要です。カートの利用が多いコースでは、フェアウェイを乾燥させて硬く維持することには限界があります。
ストレス管理とプレーアビリティ
厳しい天候や大量のプレーに備えるため、芝の受けるストレスを管理するためにメンテナンス方法を調整することで、プレーアビリティが一時的に良くなることがあります。グリーンキーパーは、一年中、毎日経験するストレスに耐えられるようにゴルフコースを管理します。制御できるストレスもあれば、できないストレスもあり、コースが常に最高の状態とは限りません。天候などの自然の変化はゲームの一部であり、これは「運」とのめぐり合わせでもあります。
- カートがフェアウェイの硬さに与える影響
CAP:乾燥ストレスを受けた芝生の上をカートが走ると、芝はダメージを受け、薄くなり、時には失われることもあります。フェアウェイの硬さを重視するなら、カートの通行を最小限に抑えることが重要です
注：この記事は、USGAがゴルフコース向けに発信している情報です。
ゴルファーにとって、しっかりと硬く締まったフェアウェイは重要な要素ですが、これを実現するにはいくつかの要因が影響します。カートの使用が増えると、コース管理方法を調整してストレスを軽減する必要があります。これによってフェアウェイの硬さを維持することが可能になります。
締まったフェアウェイを作るためには、芝生を水分ストレス（不足）状態に管理する必要があります。しかし、ラウンド数の増加やカートの交通によるストレスは芝生の損傷や喪失を引き起こす可能性があります。カートがストレスを受けた芝生の上を走行すると、タイヤの跡が付いた部分が枯れたり薄くなったりします。このストレスを防ぐためには、灌漑を増やす必要があり、これがフェアウェイの硬さを減少させます。
フェアウェイの硬さが優先される場合、カートの交通量の影響を理解することが重要です。カートの使用を最小限に抑える方針を持つことが、ゴルフコースにとって最善の対策となります。カートの通行量を減らすためのいくつかのオプションには、一日のカートの利用台数を制限する、特定の時間帯にカートの使用を制限する、キャディプログラムを開発する、プル（手引き）カートを提供する、歩行によるプレーの割引料金を設定する、暑くて乾燥した天候条件の際にカートの利用制限を実施するなどがあります。
多くのゴルフコースでは、カートの使用を減らすことが収益に影響を与える可能性がありますが、フェアウェイの硬さを最大化することが目標であれば、カートの使用にはトレードオフが伴います。カートの交通を管理し、芝生の健康とプレイアビリティを最適化する方法については、地域のUSGAアグロノミストに相談してください（USGAは各地区の専門家が対応しています）。
ザック・ニコルディス（Zach Nicoludis、USGA
Reprinted with permission of USGA Green Section