ゴルフカートの隠れたコスト

ブライアン・ウィットラーク(Brian Whitlark、USGA西部地域担当ディレクター)

CAP: カート道路の維持管理やカートの通行による芝生の損傷箇所の修復費用は、カートの収益性を考える際に見落とされがちなコストです。

いまやゴルフカートは、現代のゴルフビジネスにおいて重要な要素となっています。ゴルファーがカートをレンタルしたり、(米国の場合は)個人所有のカートを使用するために別途料金を支払ったりしています。ゴルフコースにとってカート収入は貴重であり、カートの利用が増えればゴルフ場の経営に必ずプラスになると考えがちです。しかし、カートが利用されるたびに隠れたコストが発生しています。カート収入は、ゴルフコースの収支全体の一部に過ぎません。

意外に思われるかもしれませんが、ゴルフカートは確実に芝とその根圏にダメージを与えます。カートの走行回数は、コースで使用する水や肥料の量、土壌の締め固めを解消するためのエアレーション作業、利用頻度の高いエリアの修復に必要な芝の張替えなど、多くのメンテナンス作業に影響を与えます。雨天時や芝の回復が困難な時期(冬期など)にカートが芝生の上を走行すると、ダメージはさらに大きくなります。残念ながら、カートによる影響を軽減するために必要な作業時間、機器の使用費、資材費といった追加コストは定量化が難しく、従来のメンテナンス予算には明確に反映されないことがよくあります。つまり、カートの収益性を分析する際、これらのコストは通常考慮されていないということです。

カートの通行量が増えると、通行規制用の案内板などの資材や管理の必要性も高まります。ロープ、杭、標識、方向指示器などを購入・設置・移動・維持管理しなければなりません。個々の資材はそれほど高価に見えないかもしれませんが、累積コストは相当な額になります。さらに、カートの通行管理に従業員の時間が奪われることで、本来行うべき作業である芝刈りや散水、バンカーの整備など、プレー環境を改善するための多くの作業に影響が出てきます。

カート道路の維持費も、カート利用に伴う大きな費用の一つです。舗装されたカート道路の建設には数百万ドルもの費用がかかり、多くのゴルフコースでは年間運営予算に5万ドル以上をカート道路の補修費用として計上しています。ひび割れ、沈下、木の根による損傷、路面の摩耗などは安全上の問題を引き起こすだけでなく、コースの景観を損ない、穴だらけの道を走るような状態はゴルフのプレー体験を台無しにしてしまいます。カート道路の改良や維持管理費も、カート利用の費用対効果分析ではほとんど考慮されていません。

カートの運用コストは、直接的な維持管理費だけにとどまりません。芝生が傷むとコースの景観やプレーのしやすさが損なわれ、ゴルファーに悪い印象を与える可能性があります。また、多くのカートの通行に対応できるようコースを維持管理しようとすると、プレー環境の観点からプレー可能な範囲が制限される場合もあります。グリーンキーパーがカート通行による芝生の回復を促すために多くの水やりや施肥を必要とする場合、「硬く速いコンディション」でのプレーが制限されることになります。

この話は、ゴルフコースがカートの使用をやめるべきだとか、カートがもたらす収益を無視すべきだということではありません。カート収入は施設経営にとって不可欠な要素です。ゴルフコースにとって重要なのは、カートの利用状況を客観的に評価し、カートの利用増加に伴って発生するすべてのコストを「見える化」することです。カート利用回数が増えたとしても、人件費、インフラ投資、芝生の修復費用も同時に増加してしまえば、必ずしも財務状況の改善にはつながりません。

ゴルフコースは、収益目標と現実的な維持管理予算計画、そして脆弱なエリアを保護する方針とのバランスを取ることが重要になります。歩行プレーを促すインセンティブの提供や明確なカート利用制限、そしてゴルファーとの効果的なコミュニケーションは、いずれもコースの損傷を軽減するのに役立ちます。例えば、4人1組のパーティで2台のカートを使用することを徹底したり、パー3ホールに加えてパー4やパー5のホールにも適度にカート乗り入れ禁止エリア(芝生の保護・休養ゾーン)を設けることの検討が必要です

ゴルフカートは確かにゴルフコースに付加価値をもたらしますが、ゴルファーがカート使用に伴う隠れたコストを理解することで、グリーンキーパーはゴルファーのプレー体験とコースの長期的な健全性の両方を守るためのより適切な意思決定を行うことができるようになります。

Reprinted with permission of USGA Greensection.