リビエラのキクユグラスとはどんな芝草か

ダリン・ベバード(Darin Bevard、チャンピオンシップ担当農学者、シニアディレクター)

CAP:ほとんどのゴルファーはキクユグラスでプレーした経験がありませんが、適切な管理がされた状況下では素晴らしいコンディションを提供してくれます。この写真は、リビエラカントリークラブのフェアウェイのキクユグラスです

 優勝したネリー・コルダの最後のパットがカップをなめた瞬間、アッと叫んでしまいました。今年(2026)の全米女子オープン開催コースはリビエラCCでした。ラフの芝生を見たと思います。30年ほど前の話ですが、リビエラで開催されたトーナメント(たぶんL.A.オープンだったと思いますが、記憶違いならごめんなさい)中継で、解説の戸張捷氏が「青木(功)さん、キクユグラスってどうですか?」と聞くと、引き抜いたキクユグラスを手に持って「(茎が)太いでしょう、かむね。抜けないよ、これは」と青木さんが話していたのを思い出します。たぶん、この時、ほとんどのゴルファーがキクユグラスをはじめて目にしたのではないでしょうか。この時は、“戸張さん、偉い”と思った記憶があります。今回の記事は、そのキクユグラスの話です。

 

キクユグラスという名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際にこの芝でプレーしたり、目にしたりした経験のあるゴルファーは少ないのではないでしょうか。ここリビエラカントリークラブでは、このあまり使われない芝が何十年にもわたってフェアウェイやラフで使われてきています。そこで今回は、多くの人には雑草と見なされているものの、世界トップクラスのゴルファーにチャンピオンシップにふさわしいプレー環境を提供できるこの芝について、詳しく紹介したいと思います。

こんな芝です

キクユグラスは、アフリカ原産の暖かい気候を好む暖地型芝草で、ケニアからアメリカに持ち込まれました。一般的には、一度根付くと他の芝草を押しのけて急速に繁殖する雑草とみなされています。キクユグラスはバミューダグラスなどの他の暖地型芝草から完全に駆除するのが非常に難しい芝です。一部のゴルフコースではキクユグラスを理想的な芝草として採用しています。南カリフォルニアをはじめとする世界の温暖な地域では、リビエラやトーリーパインズといったUSGA選手権開催コースを含む、少数のゴルフコースがキクユグラスを採用しています。

では、ゴルフコースにキクユグラスを採用したいと思うだろうか?

キクユグラスは汎用性が高く、多様な刈り高に対応できるため、フェアウェイとラフの両方に使用されます。リビエラもその一例です。つまり、フェアウェイやラフのラインを調整したい場合は、キクユグラスを低く刈り込むか、高く伸ばすだけで、少し時間が経てば、新しいラインが生まれます。この柔軟性は、チャンピオンシップコースでは非常に役立ちます。なぜなら、トップアスリートのために刈り高を調整し、その後、通常のプレーのために元の刈り高に戻す必要がある場合が多いからです。

キクユグラスは、密生したフェアウェイのキャノピーと優れたライを提供します。キクユグラスのフェアウェイではボールが浮くため、ゴルファーはこの「雑草」に愛着を感じることがよくあります。キクユグラスは干ばつに強く、南カリフォルニアのように水が貴重な地域で好まれます。また、中程度から高い耐塩性も備えているため、水質が良くない、降雨量が少ないコースでも十分に機能します。この特性から、米国南西部でよく見られます。

CAP:キクユグラスは、フェアウェイ、インターミディエイトラフ、プライマリーラフエリアにおいて優れた品質を発揮し、芝刈りラインの変更も容易に行えます。この汎用性の高さは、キクユグラスの大きな利点です

キクユグラスを採用したくなりましたか?

キクユグラスは旺盛に生育し、地表下に有機物の密な層を形成します。そのため、グリーンキーパーなどのコース管理者にとっては、フェアウェイやアプローチの芝をしっかりとした状態に保つことが非常に困難です。キクユグラスでフェアウェイのプレーアビリティを良好に保つには、積極的な垂直刈り込み(バーチカルカット)とトップドレッシング(目砂)が不可欠です。キクユグラスを使用しているコースの中には、アプローチやパッティンググリーン周辺の刈り込みエリアをバミューダグラスに転換し、これらのエリアの芝をしっかりとした状態に保ちやすくしているところもあります。

もう一つの問題は、キクユグラスが意図しない場所に繁殖した場合、除草剤で処理しても根絶するのが難しいことです。さらに、キクユグラスの発生した他の雑草を防除するために除草剤を散布するとキクユグラスが傷つく可能性があります。傷つきやすく、駆除が難しいというのは、ゴルフコースの維持管理にとって理想的な組み合わせではありません。ふわふわとした白いキクユグラスの種子茎は見た目にも厄介で、芝がストレスを受けている状態では、刈り取ってもすぐに再び生えてきます。

キクユグラスは、他の暖地型芝草に比べてプレーアビリティが劣るというイメージを払拭するのに苦労しています。キクユグラスでフェアウェイやアプローチのプレーアビリティを向上させるには大変な努力が必要なのは間違いありません。しかし、ボールライ、冬場の葉色の保持、そして全体的な耐久性といったメリットは、年間を通してゴルフがプレー可能なコースでは非常に価値があります。

まとめると

キクユグラスは万人向けの芝草ではありません。実際、使用しているゴルフコースの数は比較的少ないのが実情です。しかし、刈高を工夫すれば、優れたフェアウェイや難易度の高いラフとして活用できます。一般的には雑草と思われがちですが、適切な管理を行えば、この雑草が理想的な芝草となる場合もあります。キクユグラスは完璧ではありませんが、適した場所では期待以上の効果を発揮します。

Reprinted with permission of USGA