エリオット・L・ダウリング(Elliott L. Dowling、USGA東部地域ディレクター)

CAP:乾燥した天候が必ずしも路面の硬さと速さを保証するわけではない
コースコンディションは天候に大きく左右されます。何日も雨が降り続くと、コースは柔らかくなります。雨が降らないと、一般的にコースは乾いて固くなります。しかし、何日も何週間も雨が降っていないのに、コースが予想以上に柔らかいのはなぜだろうと、皆さんは疑問に思うことがあるではないでしょうか。これは自然な疑問ですが、その答えは複雑な場合もあります。
一つの説明としては、雨が少ない時期には芝生の健康を維持するために、より多くの灌漑が必要になるということが挙げられます。これは特に、ベントグラス、スズメノカタビラ、ケンタッキーブルーグラスといった寒地型芝草に当てはまります。これらの芝草は、バミューダグラスのような暖地型芝草ほど高温乾燥に耐えられないためです。夜間に大量の灌漑を行い、日中にさらに散水することで、より柔らかいプレー面を作りだすことができます。干ばつ時の集中的な散水は一時的なものですが、フェアウェイやグリーンをより水に浸しやすい状態にすることは間違いありません。
特にフェアウェイは、コースの灌漑システムが古くて非効率的な場合、予想以上に湿っていることがあります。散水範囲に問題があったり、スプリンクラーの制御に制限がある古いシステムでは、必要な場所に確実に水が行き渡るようにすることで、一部の場所に水をやりすぎてしまうという残念な状況がしばしば発生します。また、灌漑システムが定期的に使用されている場合、フェアウェイの低い場所や窪みに水が溜まります。残念ながら、ゴルフボールは乾いたマウンドよりも低い場所にとどまりやすいため、フェアウェイが本来よりも柔らかく感じられる原因となります。
もう一つの理由は、プレー面の地面直下に堆積した過剰な有機物、いわゆる「サッチ」と呼ばれる層です。サッチとは、生きた植物と枯れた植物が混ざり合った柔らかい層のことで、雨不足で土壌が乾燥していても、過剰なサッチがあるとフェアウェイやグリーンが柔らかくなってしまいます。特に、大量の灌漑を行っている場合は、サッチがスポンジのように水分を吸収して保持するため、この傾向が顕著になります。そのため、根元まで水を届けるのが難しくなり、プレー面が常に湿った状態になり、柔らかくなってしまうのです。
では、天候に関係なくコースが軟らかく感じられる場合、どうすればよいのでしょうか? 場合によっては、より均一に水を供給するために、灌漑設備の改良や新しいシステムの導入が必要になるかもしれません。また、主要なプレーエリアを、より少ない水の散布で済み、暑さや干ばつに強い芝に植え替えることも検討すべきでしょう。そうすることで、乾燥した天候でも散水量が少なくなり、コースコンディションがしっかりとしたものになります。ゴルファーの踏圧や乗用カーなどに対する芝の踏圧耐性も重要です。踏圧耐性の低い芝は、早い段階にストレスや損傷の兆候が現れるため、コース管理では芝の健康を維持するために散水する必要が生じます。
生育環境の悪化を改善することは、グリーンキーパーが常にしっかりとした状態を維持する上でも役立ちます。日陰が多すぎたり、空気の流れが悪かったり、樹木の根が芝と競合したりすると、芝生の健康に悪影響を及ぼします。すでに健康状態の悪い芝生は、乾燥した天候に対する耐性が低くなります。コース管理スタッフは、生育環境の悪さを補うために、これらのエリアにより多くの水を散布する必要があるかもしれません。日光と空気の流れを良くするために樹木の枝の剪定や伐採を行うことで、芝生の健康と密度が向上し、水が溜まる場所がより早く乾燥するようになります。サッチが問題となっている場合は、エアレーションやトップドレッシングなどの対策に重点を置くことで、土壌中の水分の循環を促し、よりしっかりとしたプレー面を作り出すことができます。
利用者としては、乾燥した天候ではゴルフコースがしっかりとした状態になることを期待するのは当然のことです。乾燥した芝は、濡れた芝よりも常に硬く、ボールスピードが速い状態になります。しかし、芝の種類によって必要な水分量が異なること、灌漑システムの性能が異なることや、そしてコース管理チームのしっかりとした芝状態を維持するための作業に費やす時間と資金が異なることを認識しておくことが重要です。ですから、数週間乾燥した天候が続いた後でもコースが硬くならない理由が分からなくなった場合は、グリーンキーパーに問い合わせて、関係する可能性のある複雑な要因について詳しく聞いてみてください。
Reprinted with permission of USGA Greensection
